09.24

日経平均がダウ平均ほど上昇しない理由は確かにあったのである
日本で株式の本というとくだらないステルスマーケティングや自費出版で儲けた儲けたと書いているものばかりで全然役にも立たない本ばかりであるが、一橋大学の名誉教授が書いた本が素晴らしい。
日本の投資書籍では自分の中では断トツの一位である。アメリカのジェレミーシーゲル博士の本に匹敵するほどいいできばえであるがAmazonでもあまり売れていないし、評価もない。
専門書過ぎるし、有名大学の図書館くらいしかこういう本はあまり買わないだろう。
1冊4000円近くするがそれだけの価値はあると思う。
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日経平均と「失われた20年」という書籍はどういう内容なのか?
日経平均の3つの罪
第1の罪
適切な銘柄入れ替えを怠った日経平均
バブル期に大幅に上昇した電気株、大型スーパー株は日経平均には採用されていなかった。それまでは百貨店が主力であったが時代の変化を日経平均は取り入れておらず、ダイエーが百貨店を抜いたとき、ファナックが好業績の時も採用していなかった。
業績が悪化してから、これらのバブル期に飛躍した銘柄を採用した罪は大きい。
これが失われた90年代を生み出した。
第2の罪
2000年4月、ITバブル崩壊の中、30銘柄を一気に日経平均採用銘柄に入れ替えた。これは最悪の行いだった。過去の日経平均との連続性は完全に失われた。そして、ITバブル崩壊で株価が凄まじく低迷していく中、日経平均採用銘柄は500円の株が2000円になるなど凄まじく仕手株としてピークを一瞬迎える。そこが採用価格のタイミングとなった。採用後はあっという間に500円まで下落したのである。
除数は2倍となった。
今の採用銘柄でも東京電力はかつて2000円以上の株価があったが、原発事故で200円程度まで下落した。この株が500円に上昇しても日経平均の寄与は0.1%にもならない。影響を与えられないのである。しかし、2万、3万も1株するファーストリテイリングの株価が上昇すれば日経平均を凄まじく押し上げる。
日経平均の意味とは、この程度となっている。
バブルまでの日本株の値動きは、一時的な不況に見舞われても短期間で回復し、常に長期保有で儲かる上昇相場であった。
戦後から一貫して日本株をろうそく足で表現すると陽線ばかりとなる。
それがバブル崩壊から陰線と2000年からの激しいボラティリティとボックス相場に陥り、ついにダウ平均に追い抜かれるのである。
今後日経平均はダウ平均を大きく上回ることは出来ないことがこれでもかと詳細に分析されている。
次の日本株が失われた20年から、失われた四半世紀と言われる時代が来ると言うことが詳細なデータで証明されている。
非常に読んで価値のある本である。
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